配偶者居住権(民法1028条)は、いくつかの事由によって消滅します。ここでは、用法遵守義務違反などによる消滅請求(民法1032条3項)、配偶者の死亡による消滅(民法1036条が準用する597条3項)、存続期間の満了などを、民法1028条〜1036条の体系のなかで条文に沿って中立に整理します。
| 消滅事由 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 存続期間の満了 | 定めた期間の経過 | 民法1030条ただし書 |
| 配偶者の死亡 | 権利の主体の消滅 | 民法1036条→597条3項 |
| 建物の全部滅失等 | 使用収益が不能に | 民法1036条→616条の2 |
| 消滅請求 | 所有者の意思表示 | 民法1032条3項 |
配偶者は、配偶者居住権に基づき建物を使用・収益するにあたり、従前の用法に従い善良な管理者の注意をもって建物を使用・収益する義務を負います(民法1032条1項)。また、配偶者居住権は譲渡することができず(同条2項)、配偶者は建物所有者の承諾を得なければ、建物の改築・増築をし、または第三者に使用・収益をさせることができません(同条3項本文)。
民法1032条3項は、配偶者がこの善管注意義務・用法遵守義務(1項)に違反した場合や、所有者の承諾を得ずに改築・増築・第三者への使用収益をさせた場合に、建物の所有者が相当の期間を定めて是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、建物所有者は配偶者居住権を消滅させる旨の意思表示をすることができる旨を定めています。これがいわゆる消滅請求です。
配偶者居住権は、残された配偶者個人のために認められた権利です。民法1036条は、使用貸借に関する民法597条3項を準用し、配偶者の死亡によって配偶者居住権は消滅するとしています。配偶者居住権は相続の対象とならず、相続人に承継されません。
また、遺産分割の協議・遺言・家庭裁判所の審判で具体的な存続期間(例:10年)を定めていた場合は、その期間の満了によって消滅します(民法1030条ただし書)。存続期間そのものについては 配偶者居住権の存続期間(民法1030条) で整理しています。
民法1036条は、賃貸借に関する民法616条の2も準用しています。これにより、建物の全部が滅失その他の事由によって使用・収益をすることができなくなった場合には、配偶者居住権は消滅すると整理されます。建物が存在しなくなれば、その建物に住み続ける権利も成り立たなくなるためです。
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▶ 法定相続分を自動計算する主な消滅事由は、存続期間の満了、配偶者の死亡(民法1036条→597条3項)、建物の全部滅失等による使用収益の不能(同条→616条の2)、用法遵守義務違反等に対する建物所有者の消滅請求(民法1032条3項)です。
民法1032条3項により、配偶者が用法遵守義務(1項)に違反し、または無断で改築・増築・第三者への使用収益をさせた場合に、建物所有者が相当の期間を定めて是正を催告し、その期間内に是正がされないときは、建物所有者は配偶者居住権を消滅させる意思表示をすることができます。
配偶者居住権は配偶者の死亡によって消滅します(民法1036条が準用する597条3項)。相続の対象とはならず、譲渡もできません(民法1032条2項)。