配偶者短期居住権とは?要件と存続期間

配偶者短期居住権とは、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた配偶者が、一定の期間、その建物を無償で使用できる権利です(民法1037条〜1041条)。残された配偶者が直ちに住まいを失うことのないよう、短期間の居住を保護するために2018年の民法改正で設けられた制度で、終身を原則とする配偶者居住権(民法1028条)とは別の権利です。ここでは条文の内容を中立に整理します。

制度の趣旨

配偶者が被相続人と同居していた建物について、相続開始によってその帰属がどうなるかが確定するまでには一定の時間がかかります。その間に配偶者が住まいを失うことのないよう、配偶者短期居住権は、相続開始の時に無償で住んでいた配偶者に対し、所定の期間中、引き続き無償でその建物を使用できる地位を認めるものです(民法1037条)。

成立要件(民法1037条)

民法1037条1項は、配偶者が、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合に、居住建物について無償で使用する権利(配偶者短期居住権)を有する旨を定めています。対象は、配偶者が現に無償で住んでいた建物(居住建物)です。

要件条文上の内容
権利を有する人被相続人の配偶者
対象被相続人の財産に属した建物(居住建物)
居住の状況相続開始の時に無償で居住していたこと
効果所定の期間、居住建物を無償で使用できる

なお、配偶者が相続開始の時に配偶者居住権(民法1028条)を取得したときや、欠格・廃除により相続権を失ったときなど、条文上、配偶者短期居住権が認められない場合が定められています(民法1037条1項ただし書等)。

存続期間(民法1037条1項各号)

存続期間は、居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合か否かによって、条文上、次のように整理されています。

場合存続期間(条文上の整理)
居住建物について配偶者が遺産分割の当事者となる場合遺産分割により居住建物の帰属が確定した日、または相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日まで
それ以外の場合(居住建物が第三者に遺贈された場合等)居住建物の取得者が配偶者短期居住権の消滅の申入れをした日から6か月を経過する日まで

いずれの場合も、配偶者が直ちに退去を迫られないよう、一定の猶予期間を確保する設計になっています。具体的な期間の起算や該当性は事案により異なります。

配偶者居住権(民法1028条)との違い

「配偶者居住権」とよく混同されますが、両者は根拠条文も存続期間も異なる別の制度です。下表は条文の事実を中立に対比したものです。

項目配偶者短期居住権(民法1037条〜1041条)配偶者居住権(民法1028条〜)
存続期間遺産分割確定日/相続開始から6か月のいずれか遅い日 等、短期原則として終身(協議・遺言・審判で別段の定めも可)
取得の要件相続開始時に無償で居住していたこと(法律上当然に発生)遺産分割・遺贈・死因贈与等により取得
権利の内容居住建物の無償使用居住建物の使用および収益
登記登記の対象とされていない登記が対抗要件となりうる
根拠条文民法1037条〜1041条民法1028条〜

短期居住権はあくまで遺産分割等が確定するまでの「つなぎ」として配偶者の居住を保護するもので、長期的に住み続けるための権利は配偶者居住権の取得を検討することになります。いずれを利用できるかは個別事情によります。

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よくある質問

配偶者短期居住権とは何ですか?

被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた配偶者が、一定期間その居住建物を無償で使用できる権利です(民法1037条)。遺産分割により居住建物の帰属が確定する日までなど、所定の期間中、配偶者の居住を保護する制度です。

配偶者短期居住権と配偶者居住権はどう違いますか?

配偶者居住権(民法1028条)は原則として終身にわたり建物の使用収益が認められる権利であるのに対し、配偶者短期居住権(民法1037条)は遺産分割確定日や相続開始から6か月の経過などを基準とする短期の使用権です。根拠条文と存続期間が異なります。

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