いったん成立した遺産分割協議を、後からやり直すことはできるのか。ここでは、共同相続人全員の合意による解除(合意解除)の可否と、その場合の税務上の取扱いについて、一般的に説明されている内容を中立に整理します。具体的な可否や課税関係は事案により異なります。
遺産分割協議は共同相続人全員の合意によって成立する合意であり、成立後であっても、共同相続人全員が改めて合意するような場合には、これを解除して分割をやり直すこともできると一般に説明されています。一方、一部の相続人だけの意向で、他の相続人の同意なく一方的にやり直すことは、原則としてできません。
合意解除によってやり直しが認められる場合でも、税務の取扱いは別問題です。相続税の取扱いでは、相続人全員の合意で当初の遺産分割を解除して再度分割した場合、その効果は当事者間で相続開始時にさかのぼるとされる一方、原則として当初の遺産分割により取得した財産を相続人間で再移転したものとして取り扱われるとされています。
その結果、やり直しによって財産が移る相続人の間で、贈与税・譲渡所得税、不動産の場合には不動産取得税などが課される場合があります。なお、当初の協議に無効・取消しの原因があってやり直す場合など、扱いが異なるケースもあります。
| 場面 | 遺産分割としての可否 | 税務上の主な留意点 |
|---|---|---|
| 相続人全員の合意による解除・再分割 | 可 | 原則、当初取得財産の再移転として贈与税等が問題になりうる |
| 一部の相続人のみで一方的にやり直し | 不可 | ― |
| 当初協議に無効・取消しの原因がある | 別途判断 | 合意解除とは別の問題として扱われる |
やり直しを検討する前提として、誰が法定相続人にあたるか・各人の法定相続分は、家族構成を入力するとその場で自動計算・可視化できます(登録不要・無料)。
▶ 法定相続分を自動計算する成立した遺産分割協議であっても、共同相続人全員が合意するような場合には、これを解除して改めて分割し直すことも可能とされています。一部の相続人だけの意向で一方的にやり直すことは原則としてできません。
相続税の取扱いでは、全員の合意で解除して再度分割した場合、原則として当初の遺産分割で取得した財産を相続人間で再移転したものとして扱われます。その結果、贈与税や譲渡所得税、不動産の場合は不動産取得税などが課される場合があります。
協議そのものに無効・取消しの原因(例:意思表示の錯誤など)がある場合は、合意解除とは別の問題として、当初の協議の効力が否定されることがあります。個別事案の判断は専門家にご相談ください。