後見開始の審判とは?成年後見の入口

後見開始の審判とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、家庭裁判所が後見を開始させる審判をいいます。根拠は民法7条で、これは判断能力が著しく低下した方を法律面で支える「法定後見」の中でもっとも重い類型(後見)の入口にあたります。本人があらかじめ契約で備える任意後見とは別の制度です。ここでは制度の枠組みを中立に整理します。

後見開始の要件

後見開始の審判の対象は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者です。「事理を弁識する能力」とは、自分が行う法律行為(契約など)の結果を理解・判断する力をいい、それを「欠く常況」とは、日常的・継続的にその力を欠いている状態を指すと説明されます。重度の認知症・知的障害・精神障害などにより、ほとんど判断ができない状況が想定されます。

項目内容(概要)
根拠条文民法7条〜9条ほか
対象事理を弁識する能力を欠く常況にある者
審判する機関家庭裁判所
審判後の本人の呼称成年被後見人(民法8条)
支援する者成年後見人

請求できる人(請求権者)

民法7条は、後見開始の審判を請求できる者を定めています。具体的には、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人または検察官です。さらに、身寄りがないなど一定の場合には、市町村長が申立てをすることができるとされています。家庭裁判所は、これらの者の請求により審判を行います。

審判の効果(成年被後見人)

後見開始の審判を受けた本人は、成年被後見人となり、これに成年後見人が付されます(民法8条)。成年後見人は、本人の財産を管理し、本人を代理して契約などの法律行為を行う立場に立ちます。本人保護のため、成年被後見人がした法律行為は、原則として取り消すことができるとされています(民法9条本文)。

日用品の購入などの例外

もっとも、すべての行為が取消しの対象になるわけではありません。民法9条但書は、日用品の購入その他日常生活に関する行為については取り消すことができないと定めています。日々の買い物のような日常生活上の行為まで取り消せるとすると、かえって本人の生活や取引の安全を損なうためで、本人の自己決定の尊重という観点もふまえた例外です。

制度の流れ(イメージ)
判断能力が著しく低下 → 請求権者が家庭裁判所に後見開始を申立て → 家庭裁判所が後見開始の審判(民法7条)→ 本人は成年被後見人に(民法8条)・成年後見人が選任 → 成年後見人が財産管理・代理を行う、という流れになります。日用品の購入などの日常生活上の行為は取消しの対象外(民法9条但書)です。

任意後見との違い

成年後見制度には、判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人等を選任する「法定後見(後見・保佐・補助)」と、本人が判断能力のあるうちに契約で備える「任意後見」があります。後見開始の審判は法定後見の手続です。本人があらかじめ受任者・代理権の範囲を自分で決めておく任意後見とは、開始の仕方や枠組みが異なります。どちらが適するかは本人の状況によります。

相続・遺産分割との関係

成年後見は本人の生前の財産管理等を支える制度であり、本人が亡くなると後見は終了します。その後は相続が開始し、誰が相続人にあたるか・各人の法定相続分が問題になります。なお、相続人の中に成年被後見人がいる場合の遺産分割は、利益相反の有無など別の配慮が必要になることがあります。生前の備えと相続開始後の手続は分けて整理しておくと見通しが立てやすくなります。

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よくある質問

後見開始の審判とは何ですか?

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、家庭裁判所が後見を開始させる審判です。民法7条に基づき本人・配偶者・四親等内の親族・検察官などの請求により行われ、審判を受けた本人は成年被後見人となり、成年後見人が付されます(民法8条)。

後見開始の審判は誰が請求できますか?

民法7条により、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人または検察官が請求できます。一定の場合には市町村長が申立てをすることができるとされています。

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