遺言は、いつ作成したとしても、作成した時点でただちに効力を生じるわけではありません。遺言がいつから効力を生じるかについて、民法は遺言者の死亡の時を原則の基準とし、停止条件付の遺贈については別の扱いを定めています。ここでは、遺言の効力発生時期に関する民法の条文の内容を、事実のとおり中立に整理します。
民法第985条1項は、「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる」と定めています。遺言は、遺言書を作成した時点ではなく、遺言者が死亡した時から効力を生じます。したがって、遺言者が生存している間は、遺言はまだ効力を生じておらず、遺言者はいつでも遺言の方式に従ってその全部又は一部を撤回することができます(民法1022条)。
民法第985条2項は、「停止条件付きの遺贈は、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、その条件が成就した時からその効力を生ずる」と定めています。停止条件付遺贈とは、「○○したら△△を遺贈する」というように、一定の条件が成就することを効力発生の前提とする遺贈をいいます。この条件が遺言者の死亡後に成就した場合、その遺贈の効力は、遺言者の死亡の時ではなく、条件が成就した時から生じます。
| 場面 | 効力が生じる時期 | 条文 |
|---|---|---|
| 遺言(原則) | 遺言者の死亡の時 | 民法985条1項 |
| 停止条件付遺贈(条件が死亡後に成就) | 条件が成就した時 | 民法985条2項 |
遺言の効力発生時期が遺言者の死亡の時とされていることから、いくつかの帰結が導かれます。たとえば、遺贈は遺言者の死亡によって効力を生じるため、受遺者は遺言者の死亡後であればいつでも遺贈の放棄をすることができます(民法986条1項)。また、遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じないものとされています(民法994条1項)。これらはいずれも、遺言が死亡の時から効力を生じるという985条1項の考え方を前提としています。
本ページで扱う「効力発生時期」は、有効に成立した遺言がいつから効力を生じるかという時点の問題です。これとは別に、その遺言が方式(自筆証書遺言・公正証書遺言などの要件)を満たして有効に成立しているかどうかは、別の規定により判断される問題であり、両者は区別されます。
誰が法定相続人にあたるかや各人の法定相続分は、家族構成を入力するとその場で自動計算・可視化できます(登録不要・無料)。
▶ 法定相続分を自動計算する遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生じます(民法985条1項)。遺言書を作成した時点では効力を生じません。
停止条件付の遺贈は、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、条件が成就した時からその効力を生じます(民法985条2項)。
遺言は遺言者の死亡の時から効力を生ずるため(民法985条1項)、遺言者が生存している間は効力を生じておらず、遺言者はいつでも遺言の方式に従ってその全部又は一部を撤回することができます(民法1022条)。