遺言の撤回とは、いったん作成した遺言の効力を、遺言者自身があとから失わせることをいいます。ここでは、撤回の自由を定める民法第1022条と、抵触による撤回擬制を定める第1023条の内容を、条文の事実のとおり中立に整理します。具体的な作成・撤回は専門家への相談も検討してください。
民法第1022条は、「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる」と定めています。条文が示すポイントを整理すると次のとおりです。
| 要素 | 条文が定める内容 |
|---|---|
| 時期 | いつでも撤回できる |
| 範囲 | 遺言の全部または一部を撤回できる |
| 方法 | 遺言の方式に従って行う |
民法第1023条1項は、「前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす」と定めています。つまり、新しい遺言が前の遺言と内容的に両立しない部分があるときは、その部分について前の遺言が後の遺言によって撤回されたものとして扱われます。抵触しない部分については、前の遺言がそのまま効力を有します。
民法第1023条2項は、「前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する」と定めています。これにより、遺言の後にされた生前処分その他の法律行為が、その遺言と抵触するときは、その抵触する部分について、後の行為で遺言を撤回したものとみなされます。
たとえば、ある財産を遺贈する旨の遺言をした後に、遺言者が生前にその同じ財産を他へ譲渡したような場合、両者が抵触する部分について、遺言が撤回されたものとして扱われ得ます。
| 抵触の組み合わせ | 根拠 | 扱い |
|---|---|---|
| 前の遺言 × 後の遺言 | 第1023条1項 | 抵触部分は後の遺言で撤回擬制 |
| 遺言 × 遺言後の生前処分その他の法律行為 | 第1023条2項 | 抵触部分は後の行為で撤回擬制 |
撤回も「遺言の方式に従って」行う必要があります(第1022条)。民法は遺言の方式として、自筆証書遺言(第968条)・公正証書遺言(第969条)・秘密証書遺言(第970条)などを定めており、撤回のための遺言もこれらの方式のいずれかによることになります。なお、前の遺言と後の遺言は、必ずしも同じ方式である必要はありません。どの方式を選ぶか、個別の遺言や撤回が方式の要件を満たすかは、事案ごとの個別判断となります。
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▶ 法定相続分を自動計算する遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができます(民法第1022条)。撤回も遺言の方式によって行う必要があります。
前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます(民法第1023条1項)。抵触しない部分は前の遺言がそのまま効力を有します。
遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合も、その抵触する部分については、後の行為で遺言を撤回したものとみなされます(民法第1023条2項)。たとえば遺言で遺贈した財産を生前に他へ譲渡した場合などがこれにあたり得ます。