限定承認をすると、相続によって得た財産の限度で相続債権者・受遺者に弁済する清算の手続が民法に定められています。公告から弁済、必要な場合の換価(競売)まで、関係する条文の内容を、事実のとおり中立に整理します。なお限定承認そのものの意義・要件(922条〜924条)は限定承認とは?効果と手続のページで扱っています。
| 段階 | 条文の定め(条文の趣旨) |
|---|---|
| 公告(927条) | 限定承認後5日以内に、すべての相続債権者・受遺者へ公告。期間は2箇月を下ることができない |
| 期間満了前(928条) | 限定承認者は、公告期間の満了前には、相続債権者・受遺者に対して弁済を拒むことができる |
| 期間満了後の弁済(929条) | 知れている相続債権者に、それぞれ債権額の割合に応じて弁済。優先権を有する債権者の権利は害せない |
| 換価(932条) | 弁済のため相続財産を売却する必要があるときは競売による。鑑定人の評価による価額弁済で競売を止めうる |
| 申出をしなかった者(935条) | 期間内に申出をせず限定承認者に知れなかった者は、残余財産についてのみ権利を行使できる |
民法927条1項は、「限定承認者は、限定承認をした後5日以内に、すべての相続債権者及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2箇月を下ることができない」と定めています。あわせて、この公告には、相続債権者・受遺者が期間内に申出をしないときは弁済から除斥されるべき旨を付記しなければならないとされていますが、限定承認者は、知れている相続債権者・受遺者を除斥することはできません(927条2項)。
民法929条は、「第927条第1項の期間が満了した後は、限定承認者は、相続財産をもって、その期間内に同項の申出をした相続債権者その他知れている相続債権者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない」と定めています。公告期間の満了後に、把握している相続債権者へ、債権額の割合に応じて弁済する仕組みです。優先権を有する債権者の権利は害されないことが条文上明記されています。
民法932条は、「前3条の規定に従って弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは、限定承認者は、これを競売に付さなければならない。ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、その競売を止めることができる」と定めています。弁済のために相続財産を売る必要があるときは原則として競売によるものとされ、ただし書では、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従った価額弁済により競売を止めることができるとされています。
民法935条は、「第927条第1項の期間内に同項の申出をしなかった相続債権者及び受遺者で限定承認者に知れなかったものは、残余財産についてのみその権利を行使することができる。ただし、相続財産について特別担保を有する者は、この限りでない」と定めています。公告期間内に申出をせず、限定承認者に知れていなかった者は、弁済後の残余財産についてのみ権利を行使できるものとされています(特別担保を有する者は除く)。
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▶ 法定相続分を自動計算する限定承認者は、限定承認をした後5日以内に、すべての相続債権者および受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければなりません。その期間は、2箇月を下ることができません(民法927条1項)。
公告期間の満了後は、限定承認者は、相続財産をもって、その期間内に申出をした相続債権者その他知れている相続債権者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければなりません。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできません(民法929条)。
弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは、限定承認者は、これを競売に付さなければなりません。ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部または一部の価額を弁済して、その競売を止めることができます(民法932条)。