亡くなった方に相続人がいるかどうかはっきりしない——いわゆる「おひとりさま」や身寄りのない方が亡くなったとき、その遺産を誰が管理し、債務を支払い、最後の行き先を決めるのでしょうか。その役割を担うのが相続財産清算人です。相続人のあることが明らかでないとき、家庭裁判所は、利害関係人または検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任します(民法952条1項)。
かつて、この役割を担う人は「相続財産管理人」と呼ばれていました。2023年(令和5年)4月1日に施行された改正民法により、相続人不存在の場面で清算を行うこの立場は「相続財産清算人」へと名称が変更されました。同時に、それまで複数回・段階的に行っていた公告を並行して行えるようにし、期間も整理することで、清算手続き全体が合理化されています。
| 改正前(〜2023年3月) | 改正後(2023年4月〜) | |
|---|---|---|
| 名称 | 相続財産管理人 | 相続財産清算人 |
| 公告 | 選任・債権申出・相続人捜索を段階的に実施 | 公告を並行して実施し合理化 |
| 根拠 | 改正前民法952条 | 民法952条 |
民法第952条(相続財産の清算人の選任)
1 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。
2 前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、6箇月を下ることができない。
(出典:e-Gov法令検索「民法」。法令の条文は著作権の対象外です。)
| 段階 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| ① 選任の申立て | 利害関係人・検察官が家裁に選任を請求する | 民法952条1項 |
| ② 選任の公告・相続人捜索 | 選任した旨と、相続人は一定期間内に権利主張すべき旨を公告(期間は6箇月以上) | 民法952条2項 |
| ③ 債権者・受遺者への弁済 | 相続財産から債務を清算し、受遺者へ弁済する | 民法957条 |
| ④ 特別縁故者への分与 | 請求があり相当と認められれば残存財産を分与 | 民法958条の2 |
| ⑤ 残余財産の国庫帰属 | 最後に残った財産は国のものになる | 民法959条 |
選任を申し立てられるのは、利害関係人(被相続人にお金を貸していた債権者、特別縁故者になり得る人、受遺者など)または検察官です(民法952条1項)。申立先は、原則として被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。なお、清算人の選任やその後の手続きには、申立費用のほか、財産の状況によっては予納金が必要になる場合があります(金額は事案により異なります)。
そもそも相続財産清算人が問題になるのは「法定相続人がいない(不存在)」場面です。まずは自分に法定相続人がいるのか・いないのかを正確に把握することが出発点になります。家族構成を入力すると、法定相続人の有無と取り分をその場で自動判定できます(登録不要・無料)。財産の行き先を自分で決めたい場合は、遺言書(遺贈)の検討も有効です。
▶ 法定相続人がいるか自動で確認する相続人のあることが明らかでない(相続人不存在)場合に、家庭裁判所が利害関係人または検察官の請求によって選任する人です(民法952条)。相続財産を管理し、債権者・受遺者への弁済などの清算を行い、最終的に残った財産を国庫に引き継ぐ役割を担います。
2023年4月1日施行の改正民法により、相続人不存在の場合に清算を行う旧「相続財産管理人」は「相続財産清算人」へ名称が変更されました。あわせて公告手続きが並行・短縮され、清算手続きが合理化されています。
利害関係人(債権者・特別縁故者になり得る人・受遺者など)または検察官が、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に選任を申し立てます(民法952条1項)。