遺言の執行に関する費用の負担(民法1021条)

遺言を執行するには、財産目録の作成、登記、通知などのために費用が生じることがあります。この費用を誰が負担するのかを定めるのが民法1021条です。執行費用は相続財産の負担とされますが、遺留分を減ずることはできない、という限界が置かれています。執行者の対価である報酬については遺言執行者の報酬(民法1018条)が別に定めており、本ページの執行「費用」とは区別されます。

執行費用は相続財産の負担(民法1021条本文)

民法1021条本文は、遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とすると定めています。遺言執行者が任務を行う過程で生じた費用は、特定の相続人個人ではなく、原則として相続財産から支出されることになります。執行者の権利義務(民法1012条)に基づく執行行為に伴う費用が、ここでいう執行費用にあたります。

項目取扱い根拠
遺言の執行に関する費用相続財産の負担民法1021条本文
遺留分との関係遺留分を減ずることはできない民法1021条ただし書

遺留分を減ずることはできない(民法1021条ただし書)

もっとも、執行費用が相続財産の負担になるといっても無制限ではありません。民法1021条ただし書は、これによって遺留分を減ずることはできないと定めています。すなわち、執行費用を相続財産から支出することによって、遺留分権利者が本来確保される取り分を侵してはならない、という限界が置かれています。遺留分の割合そのものについては遺留分の割合(民法1042条)を参照してください。

例)遺言執行者が不動産の名義変更の登記費用や財産目録作成の費用を支出したケース。これらの遺言の執行に関する費用は相続財産の負担となります(1021条本文)。ただし、その支出によって遺留分権利者の遺留分が減ることになる場合でも、執行費用によって遺留分を減ずることはできません(同条ただし書)。

家族構成を入れて法定相続分を自動計算する

執行費用や遺留分の前提となる相続財産・相続人は、家族構成によって決まります。家族構成を入力すると法定相続分をその場で自動計算・可視化できます(登録不要・無料)。

▶ 法定相続分を自動計算する

よくある質問

遺言の執行に関する費用は誰が負担する?

遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とされます(民法1021条本文)。執行のために生じた費用は、原則として相続財産から支出されることになります。

執行費用で遺留分を減らすことはできる?

できません。遺言の執行に関する費用は相続財産の負担とされますが、これによって遺留分を減ずることはできません(民法1021条ただし書)。遺留分権利者の取り分は執行費用によって侵されません。

他の相続パターン