遺言執行者は1人とは限らず、複数人が指定されることもあります。遺言執行者が複数あるときに、その任務の執行をどのように決めるかを定めるのが民法1017条です。執行者の権限の範囲そのものを定める遺言執行者の任務の開始・権利義務(民法1007条・1012条)とあわせて整理すると分かりやすくなります。
遺言執行者が数人あるときは、その任務の執行は、過半数で決するのが原則です(民法1017条1項本文)。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従います(同項ただし書)。たとえば遺言で「特定の財産はAが、別の財産はBが単独で執行する」といった分担を定めておけば、その定めが優先されます。
| 場面 | 決め方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 原則(複数の執行者) | 過半数で決する | 民法1017条1項本文 |
| 遺言者の別段の意思があるとき | その意思に従う | 民法1017条1項ただし書 |
| 保存行為 | 各執行者が単独で可 | 民法1017条2項 |
もっとも、過半数による決定が常に必要なわけではありません。各遺言執行者は、保存行為については単独ですることができます(民法1017条2項)。保存行為とは、相続財産の現状を維持するための行為(時効の完成猶予のための措置や、財産の劣化・損失を防ぐための措置など)を指します。緊急に財産を守る必要がある場面で、他の執行者の同意を待たずに対応できるようにする趣旨です。
遺言の執行が誰にどのような影響を及ぼすかを考える前提として、法定相続人と法定相続分を把握しておくことが役立ちます。家族構成を入力すると法定相続分をその場で自動計算・可視化できます(登録不要・無料)。
▶ 法定相続分を自動計算する遺言執行者が数人あるときは、その任務の執行は過半数で決します(民法1017条1項本文)。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従います(同項ただし書)。
各遺言執行者は、保存行為については単独ですることができます(民法1017条2項)。財産の現状を維持するための行為がこれにあたります。