遺言執行者がある場合の相続人の処分制限(民法1013条)

遺言執行者が選任されると、遺言の内容を実現する権限は遺言執行者に委ねられます。その実効性を確保するため、相続人がその執行を妨げる行為をできないようにしているのが民法1013条です。執行者がどこまでの権限を持つかを定める遺言執行者の任務の開始・権利義務(民法1007条・1012条)と表裏の関係にある規定です。

相続人は執行を妨げる行為ができない(民法1013条1項)

遺言執行者があるときは、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができません(民法1013条1項)。たとえば、遺言で特定の相続人や受遺者に渡されるはずの財産を、他の相続人が勝手に第三者に売却したり、抵当権を設定したりすることは、遺言の執行を妨げる行為にあたります。

場面取扱い根拠
相続人による相続財産の処分等することができない民法1013条1項
1項に違反した行為の効力無効民法1013条2項本文
善意の第三者との関係善意の第三者に対抗できない民法1013条2項ただし書

違反行為の効力と善意の第三者の保護(民法1013条2項)

相続人が1項に違反してした処分その他の行為は、無効です(民法1013条2項本文)。もっとも、その無効を善意の第三者に対抗することはできません(同項ただし書)。つまり、遺言執行者があることを知らずに相続人から財産を取得した第三者は保護され、その取得は守られます。なお、相続人の債権者等が相続財産についてした権利の行使を妨げない旨も定められています(同3項)。

例)遺言で甲不動産をAに相続させるとされ、遺言執行者が就職しているケース。別の相続人Bが甲不動産を勝手にCへ売却しても、その処分は遺言の執行を妨げる行為として無効です(1013条1項・2項本文)。ただしCが遺言執行者があることを知らなかった(善意の)第三者であれば、その無効をCに対抗できません(同2項ただし書)。

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よくある質問

遺言執行者がいると相続人は財産を処分できない?

遺言執行者があるときは、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができません(民法1013条1項)。

相続人が違反して処分した場合の効力は?

1項に違反してした行為は無効です。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することはできません(民法1013条2項)。

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